丸亀暮らし手帖
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 「農業のオモシロいのは、1+1が2ではなく、3にも4にもなるんよ。」力仕事や反復作業の多い農作業では、一人では到底無理なことも、二人が集まった途端に対応できる範囲がグッと広がることがあります。鈴木さんはこれまでの専業農家として培った経験と土地を提供し、吉良さんは自在に動ける機動力と機械整備の技術を活かすことで、Win-Winの関係をつくろうとしています。いよいよこの夏には第一弾のブロッコリーの出荷が始まりますが、国内の消費者の目が安心・安全にシフトし、東京オリンピックなどで海外からの注目が高まるこP23年末から年明けにかけてブロッコリーの生産者は繁忙期を迎えます。昨年末のこと。その日も二人は真夜中までブロッコリーの袋詰め作業に追われていました。それまでも「一緒にできたらええなぁ。」という気持ちでなんとなく将来の話をしていた二人ですが、膨大な作業を目の前にして「こんなに需要があるんやったら、一緒にせな損やん!」に変わったそうです。その瞬間から二人の歯車が音を立てて動き始めました。れから数年間が勝負だと二人は認識しています。 10歳も年の離れた二人ですが息はピッタリです。その理由を聞くと、声を揃えて「うちら適当やけん。」という言葉が返って来ました。なるほど農業は自然との闘いです。きっちりと決めたルールやスケジュールがうまく機能するとは限らないことを日々自然と向き合っている二人はよく知っているのです。だからこそ「適当」であることが二人の間に程よい余白を残しているのでしょう。お互いの強みを活かし、自由な発想で農業に取り組む二人。丸亀から新しい農業のカタチが垣間見えた気がしました。この1年で最も印象に残った思い出は?

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