丸亀暮らし手帖
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 一人が丁寧に関わり続けた自然は美しい。瀬戸内海の島を巡ると実感することの1つです。丸亀港から連絡船で15分。丸亀市の沖に浮かぶ牛島にはそんな風景を自らの手でつくり暮らしている人がいます。ゲストハウス・アイランドガールのオーナー横山敬子さんです。 牛島に生まれ育った横山さんが島へUターンしたのは今から約20年前。 「最初、島に暮らそうとは思ってなくて、実家に空き地があったから、週末にやって来ては自分たちの別荘を建ててたの。」 夫のカートさんと、時にはテントに寝泊まりしたり、船をチャーターして木材を運び込んだり、そんな生活を3年続け素敵な家が完成します。作っているうちに島の生活が心地よくなりそのまま住み続けることにしたのは自然の流れだったそう。取材に伺った4月下旬には瑞々しい新緑と、色とりどりの花々、そしてミツバチに蝶たち、2人がつくり出した美しい庭が広がります。牛島は水が豊かな島。横山さんの自宅近くにも水田があり、昔からの家には井戸が併設されています。 「島で植物を植えるとびっくりするくらい、何でも元気に育つのよ。」植物好きのご夫妻の庭は自宅の敷地だけではなく、道端も庭の延長のように、とても綺麗に手入れをされ島の風景をつくり出しています。 アイランドガールは世界各国からクチコミだけで人が訪れる知る人ぞ知るゲストハウス。意外なことにゲストハウスをするつもりは当初全くなく、島へ遊びに来る友人たちの宿泊場所として、親戚の空き家を貸し出したのが始まりだったそうです。ゲストハウスは築約170年の古民家。島にはこんな古民家が数件残っていて、移住する人がいたらぜひ古民家や空き地を使ってもらいたいと横山さんは話します。 「移住するなら感性が豊かで意識の高い人にぜひ住んでもらいたい。そして自分でものをつくり出せる人が向いている。」とアドバイスも。 横山さん自身、服飾デザイナー。既に固定客がついていたので「展示会も島で開催したら楽しんでもらえるだろうな。」と移住の際のネックとなる仕事の問題も難なくクリアしました。家の敷地には横山さんのアトリエが併設され、今でも日々そこで服やバックなどを作りながら、畑を耕し半自給自足の暮らしをしています。牛島丸亀港本島四国P04

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